ペーパークラフトの応用

●船体を作る。

では、実際にアンサー(アングラフ)の1/20戦艦0扶桑のペーパークラフトを利用してR/C用の木製船体を作ってみます。

ぺーパークラフトから木造船を作る場合


@ 船体のキール・フレームを組立てる。

 キール・とフレームはGPMが販売している扶桑用レーザーカットフレームを使用します。
 レーザーカットフレームは厚紙で出来ています。 瞬着の吸い込みが良いので各パーツの組立てには粘性の高い瞬間接着剤を使います。

組立て時に注意することは、各パーツが水平・垂直に正しく組立てることです。(歪んだ船はかっこ悪いですから・・・)
また、レーザーカットフレームはそのまま水に浸けたら紙がフヤけてバラバラになってしまいます。そこで粘性の低い瞬間接着剤を染み込ませて水に強くします。

するとヤスリがけができるほど硬く頑丈になります。
 船体の外板には、加工性と価格を考慮してヒノキ(2mm厚)を使用しました。





A 外板を貼る

 船体を作るの章で記載した要領で、ヒノキの板をサイズに合わせて細かく切断し、貼り付けてゆきます。
 貼る手順に決まりはありませんが、船体を歪ませない為にも作業が進めやすい平らな船底などから始めると良いと思います。

※ この段階でスクリューシャフトが通る穴を必ずあけておくこと!

★ポイント:
 外板の材料は予め切り揃えておくと寸法のズレなどによる船体の歪みを防げます。
また、ビルジキールもこの段階で組みつけておくとズレや曲がりを防げます。
外板の継ぎ目にすき間があると、水漏れの原因になりますし仕上げが大変になります。

 R/Cにする場合は、受信機やアンプ・モーターと言った動力系部品が必要です。これらを入れるためのスペースを救っておくと後の作業が楽になります。
また、浸水などの対策の為にも船体は二重構造にしたいです。

★ポイント: 
二重構造の利点は船体内に気室を作ることで完全沈没しない船体にすることが出来ます。







B 船体の形を整える

 
全体の外板の貼り付けが完了したらした仕上げ。
木工用紙ヤスリなどを利用して船体をなだらかに仕上げていきます。
ビルジキールやバルジの張り出しなどは、定規を使って曲がったりしないように注意して仕上げます。
紙ヤスリの粒度は#80・#120・#180

★ポイント
 レーザーカットフレームを削ってしまうと船体が痩せてしまうので注意して下さい。
また、バルジやキールなど船体の左右にズレが出ないようにケガキ線(下書き)しておくと良いです。





C スタンチューブの取り付け

 
スタンチューブを曲げないように船体に固定してゆきます。
仮固定は瞬着、本固定にはエポキシ接着剤を使用しました。

スタンチューブは敢えて中空オイル封入タイプではなく、市販されている真鍮製の内径3mmパイプを使用しました。
船体露出部分はABS棒に穴をあけ、成形してそれらしく見えるようにしました。

DATA
スタンチューブ: 外径4ミリ/内径3ミリ(公差+0.02)
スクリューシャフト 外径3ミリ(公差-0.02)

★ポイント
市販の中空オイル封入タイプのスタンチューブは太く形状を崩すので避けました。

また、スタンチューブとスクリューシャフトの公差は0.04ミリなので、グリースやオイルだけでも十分に防水できますしスピードボートを作っている訳ではないのでフリクションロスもあまり気になりません。






D ラダー(舵)の組立てと取り付け

 
ラダーを作り、船体へ取り付け部分を決めます。

素材
ラダー: ヒノキ 2ミリ板
ラダーシャフト: 2ミリステンレス線
シャフトガイド: 8ミリベーク棒
ホーン: 真鍮

 ラダーの構造は先のページで紹介した方法です。
ラダーシャフトのガイドは市販のベーク棒を加工し、
Oリングとグリースを併用して防水します。
ガイドにベーク棒を使用した理由は瞬着・プラリペアと相性が良いからです。

ホーンは市販品で手ごろな大きさが無かったので真鍮棒と0.5ミリ板をハンダで接着し作りました。


★ポイント
慎重に位置決めをしたら、左右にラダーを動かして
船体と接触しないか確認します。
上手動いたら瞬着で仮固定し、船体内側からプラリペアで本固定します。



E リンケージガイドの取り付け

 ラダーを動かすホーンの位置が決まったら、サーボと連動させる為のリンケージの通るガイドを取り付けます。
リンケージは市販の水上機用のステンレス製のリンケージを使用しました。
(ワイヤーでも良いと思います。)

★ポイント
 ガイドが曲がっているとサーボに負荷がかかりキチンと動かなかったり、最悪サーボが壊れることも!
航行中のトラブルをなくす為にも確り作りこみたい部分です



F 甲板の貼り付け

 ラダー系の加工が終わったら、甲板の貼付けです。
扶桑の甲板は木とリノリウムが主なので、それらの上貼りを考慮して1ミリのヒノキ板を張りました。

★ポイント
ホーンが入る部分ははメンテナンス性を考慮して、大き目のスペースを取っておきましょう。狭いと工具が入らなくて苦労しますよ。

また、板と板の継ぎ目がピッタリ合っていないと浸水の原因にるので注意したいところです。


G 船体の仕上がりの確認

 ヒノキの地肌のままだと木目が邪魔になり、凹凸が判別しにくいのでサフェ-サーを軽く塗布して、凹凸が解りやすくします。
ヤスリ目の残りなどもわかりやすくなります。
凹部はパテなどで埋めてなだらかな曲線に直しましょう。

★ポイント
確認と補正作業が終わったら、防水コーティングをするので細かいペーパーでサフェーサーを落とします。
また、船体の凹凸が気にならない場合は、この作業は省略しても良いと思います。



H 船体のコーティング

 
船体の仕上げが終わったら、コーティングです。
通常の塗料は防水効果がないので仕上げ塗装をする前にてコーティングをする必要があります。

 船体外側は、先に紹介したセルローススプレーを使用しました。
非常に木の吸い込みも良く、木の硬化と防水に役立ちます。

 セルロースを塗布したら1日放置して十分に乾燥。その後、#400くらいの耐水ペーパーで仕上げるときれいな船体のし出来上がりです。

★ポイント
早く乾かせたいところですが強い日差しを当てたり、熱風を当ててはダメです。木の中の空気が膨張して塗装がボコボコになってしまいます。

ポリエステル樹脂は硬すぎて仕上げが大変なので、見えない内側だけに使用しました。
これで木とは思えない頑丈な船体になります。


 

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